バイリンガル

【バイリンガル 2-①】幼児期から外国語を学ぶメリットー 脳・発音・言語発達の視点

anne

前回の投稿では一般的に考えられているバイリンガルの基準を振りかえり、赤ちゃんや小さい子供の言語能力とバイリンガルに育つために必要な努力について触れてみました。

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今回の投稿では、バイリンガルになることがもたらす肯定的な影響、そしてその中でも私が思う一番の利点について書いていきたいと思います。

バイリンガル育児シリーズ
  1. バイリンガルとは?(WHAT)
    • ① バイリンガルの定義:流暢さって何?「基準のズレ」を考える
    • ② 日本のバイリンガル観を、世界の実例で比べる
    • ③ 子どもは本当に「簡単に」言語を習得できるのか?
  2. バイリンガルを目指す理由とは?(WHY)
    • ① 幼児期から外国語を学ぶメリットー 脳・発音・言語発達の視点 ← 今回の記事
  3. バイリンガル育児のプランを立てる(WHEN/WHERE)
  4. バイリンガルになるための日々の生活(HOW)
  5. バイリンガルを育てる人・なる人(WHO)
  6. バイリンガル育児に役立つリソース(+)

一般的にバイリンガルを目指す理由

モノリンガルとして育った人が外国語を学び、バイリンガルになった人、またはこれから自分の子供をバイリンガルにさせたいと思う人はまず次のような理由を持っているのではないでしょうか。

  1. バイリンガルになると受験や就職に有利
  2. 家族メンバーに自分とは異なる言語を使う人がいる(子供は両方とコミュニケーションを取らないといけない)
  3. 家族で違う国に住むことになった(駐在・留学など)

①は自発的な要因、そして②と③は環境的な要因でバイリンガルを目指す必要性が出てきた場合です。

特に①の場合、選ばれる言語は英語が多いと思われますが、細かくみると一般的には次のような利点を理由にバイリンガルを目指したということが多いでしょう。

  • 国際的な友人やビジネスパートナーとスムーズにコミュニケーションが行える
  • 世界中の企業がグローバル化し、共通語である英語を話せる人材が求められているため、将来的に多様な仕事の選択肢が広がる
  • ネットや情報メディアは主に英語で提供されていて、学習や知識の幅が広がる
  • 英語圏の文学作品や映画、音楽など触れ、異文化理解が深まり、より豊かな人生を送ることができる

ただ、これらをできるようになるためには特に小さい時から長期的に時間、お金、努力をかけて英語を学ばなければならない訳ではないかなと思います。

大人になってからバイリンガルになっても、上記の利点は十分に堪能できるでしょう。

それでも子供の時から英語(もしくはその他の言語)のバイリンガルを目指す理由はどのようなものがあるのでしょうか?

バイリンガルを目指すのは持続的で長期的な努力と投資が必要で、中途半端に他人を真似していては欲しい結果に繋がらないことも多いので、最初から「なぜ」をはっきり認識することが大切なステップだと思います。

幼児期から外国語を学ぶことの利点

19世紀まではバイリンガリズムに対する考え方が今とは多く異なっていて、複数の言語を小さい頃から学ぶと言語発達が遅れる、子供に混乱が生じるなど発達にネガティブな影響があると思われていました。

逆に21世紀においてはバイリンガルになるとIQが高くなるなどの認知能力や社会の地位へのポジティブな影響が強調されています。

特に幼児期からの外国語を学ぶバイリンガルの子供は「脳の発達」と「言語学的発達」において優位とされています。

脳の発達

  1. 認知能力が向上する : 複数の言語を操られる子供は、それぞれの言語を使い分ける必要があるため、思考が柔軟で注意力が高い傾向があり、言語を切り替えることで、脳は認知的な柔軟性が伸びていくとされています。
  2. 実行機能がの向上する:バイリンガルな子供は、頻繁に言語の切り替えや制御を行うことによって、問題解決能力、判断力、情報の整理など、高度な認知能力がより発達します。
  3. 脳の構造が変化する:一つ以上の言語処理をするため、言語処理に関連する領域の密度や活動が増加し、特に前頭葉や側頭葉など、言語制御や認知制御に関与する領域がより発達します

IQが高くなるというのは他の学習能力においてもポジティブな影響がありそうで確かに魅力的ですね。ただここには小さな落とし穴もあるようなので、その部分についても後で触れてみます。

脳の発達に関する部分ですが、これらは大人になってバイリンガルになっても同じような利点を得られるとされていて、幼児期からバイリンガルを目指すより直接的な理由の多くは下記に関連するものなのではないでしょうか。

言語学的発達

  1. ニューラルプラスチシティ: モノリンガルの場合、脳は外国語を聞くと自分の言語に近い音に変換してその音を受け入れます。結果、幼児期の場合脳がより柔軟で適応力がある状態であるため、異なる言語のニュアンスや特殊な音をカテゴリー化することなく、そのまま吸収できるようになります
  2. 音素の意識: 脳は言語ごとに異なる音を簡単に認識・発音できるようにしていきますが、幼児期に複数の言語を学ぶと言語の音やイントネーションパターンに非常に敏感で、その言語特有のアクセントを模倣しやすくなリます
  3. 模倣能力:赤ちゃんは常に音や声のパターンを真似しているため、自然に聞いた異なる言語の発音を模倣し、各言語の正しい発音を習得するのにより優れた能力を持っています。
  4. アクセントの軽減: 上記の能力を持つことで、各言語の発音のパターンを他の言語に干渉を減らすことができます。
  5. 第3、第4言語習得の容易さ: 幼児期から複数の言語を身につけると、音の領域が広くなり(よく耳が良いとされる)が発達し、新しい言語を容易に身につける傾向があると知られています。

幼児期に外国語を学習する大きな利点の一つが音に対する感度と言えそうです。

「You cannot make a sound that you cannot hear」と良く言いますが、正しく発音するためには正しく聞けることが必要ですよね。

そして、大人になって外国語を学習するとまずはその言語が持っている自然な発音やイントネーションを持つことが大変難しく、文法や語彙強くてもコミュニケーションが取れなかった、ということがあります。

頑張って外国語を勉強して練習してきても「ネイティブレベルではない」と判断されるポイントもここになることが多く、「強いアクセントさえなければ…」と思う方は多いと思います。

脳がまだ柔らかく、様々な音を特定の言語の自然な状態で認識できるのは明らかな利点です。

でもそれだけのために、莫大なお金と努力をかけてバイリンガルを目指す必要があるのだろうか。そう感じてやはりうちの子はそこまではやらなくていい、と思う親御さんもいらっしゃるようです。

しかも、近年AIの技術革新によってスマホやイアホンなどの道具があれば時間差もなく感情まで分析してかなり高いレベルのコミュニケーションが取れるように人間をサポートしてくれるようになりました。

翻訳や通訳をAIが担ってくれる時代に、子どもが複数の言語を学ぶ意義はあるのでしょうか。

次回は、認知能力や発音といった機能的なメリットを超えて、私が考える「バイリンガルになる本当の価値」について書いていきたいと思います。

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ABOUT ME
anne
anne
18歳まで海外旅行の経験もないモノリンガルとして育ち、英語はむしろ苦手な科目。その後、自分に合う外国語学習法に出会い、26歳で3カ国語を使うようになる。大学卒業後は外資系企業でマーケティングの仕事を経験し、のちに英語圏の大学院でMBAを取得。言語や文化、学ぶ環境が人の成長に与える影響を、仕事と実体験の両面から考える。

子どもの成長への関心から、AMI(国際モンテッソーリ協会)の0–3歳/3–6歳向けオリエンテーション(アシスタント)コースを英語・日本語で修了。理論として学んだことは、現在の子育ての中で日々実践の軸になっている。現在はイラストレーターとして活動する傍ら、小学生と未就学児の子どもを日本語と英語の両方に触れる環境で育て、子どもたちはそれぞれのペースでバイリンガルとして成長中。

このブログでは、バイリンガル育児、子どもの発達、家族での旅をテーマに、「理論だけでも、経験だけでもない」視点から日々の気づきを綴る。答えを教える場所ではなく、迷いながら育て、学び続ける過程そのものを共有したい。
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