【バイリンガル 1-② 】日本のバイリンガル観を、世界の実例で比べる
前回はいくら流暢にその言語を操っていても、発音・文法・語彙などが完璧でないと、日本ではその人はバイリンガルではない、と判断することが一般的だとういうことを話しました。

しかし、世界では二つ以上の言語を生まれた時から習得するという事は「珍しい」事ではありません。
それこそ世界の半分以上の国では二つ以上の言語が使われていて、これは国際化が進むにつれてどんどん増えていく傾向にあります。逆に一つの言語しか話されてない国の方が少ないのではないでしょうか。
多様な文化と言語が混ざるアメリカ、イギリス、オーストラリアなど、移民国として知られる国々で、バイリンガルを見ることは珍しくないないことは皆さんご存知だと思います。
- バイリンガルとは?(WHAT)
- ① バイリンガルの定義:流暢さって何?「基準のズレ」を考える
- ② 日本のバイリンガル観を、世界の実例で比べる← 今日の記事
- バイリンガルを目指す理由とは?(WHY)
- バイリンガル育児のプランを立てる(WHEN/WHERE)
- バイリンガルになるための日々の生活(HOW)
- バイリンガルを育てる人・なる人(WHO)
- バイリンガル育児に役立つリソース(+)
台湾とスイスで目の当たりにした多言語環境
例えば、隣国の台湾を例に挙げてみます。
私が初めて台湾に行ったのは23歳の時です。台湾に行くまでですが、もちろん昔の人は未だ主に台湾語を話しますし、戦後の世代は北京語を話す、そして多くの台湾人は中国語と台湾語の両方を日常的に使っているという理解はありました。
しかし、実際に台北に行くと、地下鉄で案内放送は「台湾語」「中国語」「英語」「ハッカ語」の4カ国語で流れていました。え?今の何?と驚いたのを覚えています。それだけではないです、台湾語だけ話せると思っていたら今でも日本語を話せる年配の方も沢山いました。
多くのヨーロッパの国でもバイリンガルであることはかなり普通のことです。
以前一人でバックパック旅行をしていた時、スイスのルツェルンの郵便局でスイス人の友達に小包を送ろうとしていた時のことです。
まだ英語もそこまで上手じゃなかった私は郵便局のおばさんが目の前で「イタリア語」「ドイツ語」「フランス語」「英語」を自由に操るのをみて強い衝撃を受けました。
最近ルックセンブルックに移住した私の友達は家では英語、学校では「フランス語」、街の中では「ルクセンブルク語」と「ドイツ語」を使い分けることになると言っていました。
「一つの言語だけ」の方が、むしろ少数派だった
台湾もスイスもルックセンブルックも、日常生活で一つの言語だけを話す、というのはほとんどなく、2つ以上の言語を話すのは普通のことです。
18歳になるまでモノリンガルの国で、日常的に一つの言語しか使ったことがない私にとって、この風景は本当に不思議なです。
もちろん、彼らが日常的に使うそれぞれの言語全てが我々が思うような「完璧」なレベルであるとは限りません。
しかし、重要なのはそこではありません。
専門家が定義するバイリンガルとは、二つ以上の言語を文化的な側面も含めて日常的に使い分け、読む・書く・聞く・話すという四つの領域を必要に応じて行き来できる人のことです。
そして、その流暢さは日常生活レベル、ビジネスが行えるレベル、アカデミックな議論ができるレベルなど、人によって、言語によって、状況によって大きく異なります。
ここで私たちが覚えておきたいのは、我々が思ったより言語のレベルは流動的で、ある程度のレベルの流暢さを獲得できれば、そこからは環境によってその関係性もレベルも常に変化し続けるということです。
それならこれらの国々に住む人と同じように、我々も小さい頃から子供達に様々な言語を教えれば簡単に習得できるかもしれない、と思うのも無理ではありません。
でも我々が思うほど、子どもは本当に「簡単に」言語を習得できない、というのが私の結論です。

